事業所で水遊びが解禁されたので今回は水着ゾーンについてお話ししたいと思います。
水着ゾーンとは?
この水着ゾーンという言葉を皆さんご存知でしょうか?性教育で使われる言葉なのですが、触れてはいけない場所・見せてはいけない場所を子どもたちに分かりやすく教える時に使う言葉です。
男児・女児ともに水着で隠れる部分は大事な部分なので触らないし人にも見せない
男児ならばペニス、陰嚢(玉袋です)、お尻。
女児ならば胸部、陰部、お尻。
これを幼少期の頃から(3歳頃から)教えることが大事なのです。
「3歳から性教育?早くない?」
と思われる保護者の方も多いと思います。しかしこれにはちゃんと理由があります。
性犯罪に巻き込まれるのを未然に防ぐために、幼い頃から教えておく必要があるのです。
今回は3つの例を挙げてその大切さを記述します。
① 公園で知らない人から「飴をあげるから、服をめくってごらん」と声をかけられた
変質者に声をかけられた際、『この人、怪しいな』とすぐに思える子ばかりではありません。変質者の立場で考えれば当然ですが、明らかに変質者と思われるような恰好で近づく人はおそらくいないでしょう。また、中には「いや」「やめて」と言った否定的な言葉を発するのが苦手な子もいます。はっきりノーと言えるためには本人の中で明確な理由が必要です。
このような事が起こった場合、日頃から「水着ゾーンは見せちゃダメ」と教えておけば「水着ゾーンを見せてって言ってる…!!怪しい人だ!」と思い、飴の誘惑に負けることなく「いや!!」と言えたり、助けを呼ぶことができたりするかもしれません。
また実際に性犯罪の被害にあった児童が「どういう意図があって身体を触られているのかが分からなかった」と証言している事もあるらしく、事のあとで保護者に話をして初めて被害にあったことを知った事件もあるようです。触れても触れられてもいけない、ということを知っておけば被害を防ぐことも可能だと思います。
①は児童が被害者になるケースですが、次は児童が加害者になるケースです。
② トイレに入っているところを覗こうとする
こちらはライトキッズ内でもたまにある出来事です。
スタッフ・児童を問わず人がトイレに入っている時に鍵を開けて中を見ようとした子もいます。
よく言われるように自閉症の子たちは相手の気持ちをくみ取ることが苦手です。覗かれた嫌がっている子の気持ちより、自分が楽しいから覗き続けます(これは相手の反応を見て楽しむ反応遊びと言われるものです)。ライトキッズのような小人数の社会環境であれば注意と叱責だけで済むかもしれません。しかしこれが幼稚園や小学校等の大きな集団社会であればどうでしょうか。本人は遊びの延長でやっていたかもしれませんが、周囲の人々は遊びとは思いません。このようなことをきっかけに同級生から相手にされなくなったり、虐めに発展したりする可能性もあります。面白がってやっていいことではありません。加害者にならないためにもきちんと教えておくべきです。
③ 人の衣服をめくる、衣服の中を覗こうとする
こちらもライトキッズ内である出来事です。
中には自ら下着を見せてくる女児や、パンツをずらしてペニスを見せてくる男児もいます。②のケースと同じように面白がってやる児童がほとんどです。こちらも加害者として周囲から嫌われる可能性があるケースです。
性犯罪に巻き込まれると聞いてほとんどの方は被害に遭うことを考えられたと思いますが、②③のケースにみられるように加害者になる場合もあります。どちらかと言うと加害者にならないことの方が大事だと個人的に思います。加害者にならないように気を付ける事が、被害者にならないことに繋がると思います。
私の知り合いに小学生の時に教室でパンツを脱いで肛門を見せて大問題になった子がいますが、「みんなが笑ってくれると思ってやった」と後に供述していました。しかし周囲の反応は笑うどころかドン引きですぐに先生を呼ばれて本人はとても怒られたそうです。
それを機に本人は2度と『尻だけ星人』はやるまいと誓ったそうです…💦
幼児にとって人の肌の温もりは気持ちが落ち着くらしく、抱っこを要求したり、膝の上に座ってきたり、特に理由もなく寄り添ってきたりする子は少なくないと思います。幼児にとっては特別な意味はなく、コミュニケーションの1つとしてこれらのような行動をとっていると思われます。
身体に触れるということはとても大切なことです。特に幼児期はしっかり身体に触れてコミュニケーションをとらないと後の人格形成に大きな影響を与えると説いている学者もいる程です。必要なことだからこそ幼児期からどこまで触っていいのか、どこは触ってはいけないのかを正しく教える必要があります。
あとがき
ということで今回は水着ゾーンについて記述しました。
今回は例を挙げて端的に説明をしましたが、本来ならばその部分が何故触ってはいけないのか(赤ちゃんが産まれてくる部分で大事であるということ)を丁寧に説明した方がより理由が明確で分かりやすいと思います。ただ性教育はデリケートに捉えられがちな問題ですので、各ご家庭で求めるレベルも違うと思います。この記事を読んで性教育の必要性を理解していただき、お子さんとお話をしていただきたいと思っております。
私が幼い頃は変なおじさんに気をつけろというようなことばかり言われてきましたが、最近は女性の変質者も多いようです。また狙われるのも女児に限ったことではなく、女性が男児を狙ったり、男性が男児を狙ったりすることもあるようです。それを踏まえて①のケースでは男性・女性どちらでも考えられるよう記述しています。
子どもは無知です。だからこそ身近な大人が正しい知識を伝える必要があるのです。自分で学ぶということが苦手な自閉症の子たちなら尚更です。
今年はプールや海水浴に行く機会が例年と比べて少ないとは思いますが、入浴する時などお子さんに話ができるタイミングはいくつかあると思います。ライトキッズでも子どもたちに伝えていくつもりですが、ご家庭でもお話していただけたらと思いコラムという形でこのような記事を書きました。
大切な子どもたちを被害者にも加害者にもさせないために水着ゾーンから性教育を始めましょう。
浮田 著