ライトキッズの日常

~ 岡山にある障害児通所支援事業所の日々の活動記録 ~

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リトミックってなあに? Part2

ライトキッズでのリトミック活動について

 

保護者各位

リトミック担当   西嶋 佳子

 

みなさんこんにちは。ライトキッズにてリトミックを担当させていただいております西嶋佳子です。

 保護者さまにおかれましては、いつもお子様のご送迎やライトキッズの活動にご理解とご協力を賜り、ありがとうございます。

 ライトキッズでは子供たちへのアプローチの一環としてリトミックがありますが、その活動の中で大切にしていることなどを紹介します。

2回目の今回はリトミック活動を通して育まれる力についてご紹介します。

※Part1はこちらから

 

リトミック活動を通し、育みを期待できる力とは?

集中力・注意力・自己コントロール・記憶力

 リトミックの目的の軸は音楽教育が柱となっていますので、やはり音楽を使っての活動が中心です。講師の即興演奏による、その場の雰囲気や参加者の様子に応じて展開が変わっていく活動になります。ピアノやその他の楽器、口頭での指示などよく聴いていないとわからないことがありますので、こちらも「よく聴いてね」などの声かけはしていきます。リトミックでは流れてくる音楽を聴いて判断し、次の自分の行動を考えていく必要がありますので、一度に3つくらいの活動をしていると言っても過言ではありません。それだけでも、子供たちってすごいな!って思います。1つの活動をするためには、注意深く集中して聞く力・自分はこう動きたいを考える力・そして活動内容によってはきちんと記憶しておく必要があります。子供たちは頭をフル回転させて活動に参加してくれているわけです。

 

空間の認識・体の認識

 空間認識とは、自分の周りの間隔を感覚的に知る能力のことです。例えば自分の頭の上に置いてあるものを取ろうとするとき、自分よりどのくらい上にあるのか、どのくらい手を伸ばせば?それとも背伸びをして手を伸ばさないと届かないのか?人は感覚的にそれを察知して動ける能力を身につけています。その感覚が身についていると、ボールを投げる時にどのくらいの距離が離れているので、どのくらいの力で投げると相手に届くかな?など想像する力が身に付きます。空間認識を得ることは運動神経の発達にも深く関係してくると言えるでしょう。また、体の認識では、自分の体の部位を知ることで自分の体に対する意識が高まり、自分の体に向き合う機会を作ります。そのことによって、自分を大切に思い労っていく気持ちが育ちます。リトミックでは、空間認識においては例えば宇宙空間をイメージし、自分はロケットに乗って宇宙へ行く際に(しゃがんで小さくなった状態から、徐々に体を伸ばして行きシャンプして宇宙に到着!という活動)3秒で行く時と10秒で行く時では体の状態の使い方は異なります。それを活動項目の中で感覚として学んでいきます。また数をかぞえることで数への認識も深まります。体の認識においては1歳頃からアプローチは可能です。おしめ交換の際に、「ここは〇〇ちゃんのおなかだよ」、「おしりはここだよ。」と伝えていくことで、意識付けをしていきます。親子での活動に取り入れて、お母さんと体の部位をくっつけて遊ぶような活動も沢山していきます。自分の体についても知ることから大切な自分の体との認識を持つようになります。

 

他者との接触・責任感

 子供たちは3歳頃まではひとり遊びを楽しむと言われています。同じ空間にいてもそれぞれが違う遊びをしている姿を見ることは珍しいことではありません。その年齢的にはまだ自己中心的な思考をしていることの現れです。4歳ごろになると徐々に他者への意識が向くようになり、一緒に何かをするという経験をし始めるのがこの年齢ごろからです。5歳になると、クラスのみんなで協力して何かを成し遂げていくことが可能になってきます。また、下の子の面倒を見てあげることが出来るようになってくるのもこの年齢です。他者の思いを組み、それを理解して行動していけるようになってきます。お当番活動なども理解し、見通しを立ててこなしていけるようになります。小学生に向けて、自立の気持ちも芽生えてきます。リトミックでのアプローチでは、あまり人数が多くはないように、同年齢のまとまりだったり、異年齢の子供を交ぜての活動を行なっています。年齢の上のお友達は小さいお友達の面倒を見ようとしてくれますし、お手本になってくれることで責任感も付きますし、小さいお友達も見本を見た方が活動の内容がわかりやすく理解できる部分はメリットとなります。年齢によってできることの違いは当然違ってきますので、それを上手く考慮して活動していけると異年齢活動の良さが引き出せると考えています。

均衡(バランス感覚)・運動の整合

 自分の体を知ることによって、体の使い方を知ることにつながります。どう動かしたら、ボールが投げられるのか、けんけんするには足をどう動かせば片足て立てるのかというような感覚を身につけていくことが重要になってきます。運動能力は3歳までにどのくらい動かしているかで今後が決まってくるといった文献もあるようです。一概には言えませんが、そういった感覚に小さい頃からのアプローチが有効であることは一目瞭然です。外でしっかり体を動かして遊ぶことで、そういった感覚はしっかりと育っていきますので、お忙しいとは思いますが、お休みの日には少し時間をとってお子様と公園に出かけて、遊具で遊んだり、ボールを使って遊んでみたりをお子様とのお時間を過ごしてみられるのも楽しい時間かもしれませんね。お子様に対しても新たな発見があるかもしれません!リトミックでは、体のバランス感覚を得るために1歳ごろはどんぐりに変身してコロコロと転がっていきます。フープをトンネルに見立てて、中を潜る活動(実際にトンネルを用意して潜っていく活動をすることもあります。)フープを並べて両足でジャンプ!まずは保育者の手を持って→その経験をしっかり行なってから自分で跳ぶ経験へとつなげていきます。両足が跳べたら、次は片足でけんけんへ。ギャロップ(ツーステップのことですね)ができるとスキップへの移行へ繋がっていきます。バランス感覚は、ロープの上を歩く”線上歩行”の経験をしていきます。線の上をゆっくり落ちずに歩く、焦らず落ち着いて。ロープを2本にして、間の間隔を狭くしていき、どう歩くと進みやすいかを考えたり、こちら指示に合わせて歩くことができるか(太鼓の音をよく聴いて音が止まったら自分も止まったり←自己抑制)などアプローチの方法を工夫していっています。線上歩行では次のけんけんの活動へも繋がっていく運動能力を育てていく重要な課題になります。また、ボールの活動では運動能力の向上だけでなく、前述した空間認識へのアプローチにも繋がります。(相手にボールを届けるにはどのくらいの力加減が必要か感覚的に察知する能力が必要になります。)

想像性・感受性・音楽性・個性・ニュアンスの感覚

 リトミックでは音楽を感じる心を大切に育てます。2歳頃から動物の模倣活動により体の感覚的に音を学んでいきます。ゾウさんはゆっくり歩くのでゆーったりと動く(2分音符)うさぎさんは元気にぴょんぴょん飛び跳ねる(4分音符)りすさんはカリカリと忙しく木の実を食べます(8分音符)というような感覚を活動内容から学んでいきます。リズムにおいても同じような体験からです。動物になりきることでその動物の気持ちを考えてみることも大切ですね。様々な音楽の変化に対応していく力が身につくと音楽性にも繋がっていきます。そういったニュアンス(こうだと決まった感覚ではなく、それぞれの個人の感じ方で良い)を身につけていくことがリトミックでの指導の集大成になると思います。自己表現力を身につけることが、自己愛へも繋がっています。その中で自分の落ち着ける感覚を見つけ、リラックス、癒し、それが成長期における余暇の過ごし方に繋がってくれたらこんなに嬉しいことはないなと感じています。

 このように沢山の様々な力が、リトミックの活動において身に付くことが期待出来ます。私どもは、これらを踏まえて指導案を作成し、子供達にアプローチしていっています。

 

最後にとても大切なこと

 リトミックは即効性はないということをご理解いただけたらと思います。というのは子供達の成長の速さは個々でそれぞれ違うということです。前述しておりますが、一人ひとり身につけたい課題はそれぞれ。子供たちが今現在居られる段階の場所もそれぞれです。少しのアプローチで目標に達する子も居られたり、そこへのアプローチへ行くまではもう少し別の段階を踏んでから進んだ方が効率が良いなど、成長段階においても個人差はありますので、すぐに結果を求めず、今出来ることを最大限に活かし、成長を見守ることが一番大切なことだと思います。現段階ではできなくてもいつ芽生え、花開くかは誰にもわかりません。停滞と思われる時期があっても今はその芽や葉を増やし、枝をたくさん伸ばしている時期だと捉えてもらえるとありがたいなと思います。成長のスピードは人それぞれ。でもその子なりに必ず成長しています。そこをライドキッズをおうちの方と共通理解で見守っていけたらこんなに嬉しいことはありません!

 リトミックについて、少し身近に感じていただけましたでしょうか?

 子供達の日々の成長のために、そして未来のために、今を大切に過ごしてもらえたらと思っています。

 

「あなたはあなたですばらしい!!」

 

たくさんの愛情とほこりを持って子育てを楽しんでいってもらえれたら、うれしいです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後ともライトキッズをよろしくお願いいたします。

 

西嶋 佳子